大名庭園へ行ってみよう。
大名庭園とは?
大池を中心に配し、その周りに島や橋、築山で景観を作って園路を巡らした「回遊式」が代表的。園内には見晴台や茶屋なども設け、それらを巡って楽しみました。幕府の許可なく集まることが禁じられていた大名は、社交の場としても庭園を使っていたとされ、その一環として庭園で茶事や能も催していたようです。幕府は大名の財力を弱める目的と江戸の火事対策として、庭造りを奨励していました。
小石川後楽園
1952年、文化財保護法により特別史跡及び特別名勝に指定された大名庭園。徳川御三家のひとつである水戸藩の二代藩主・徳川光圀の儒学思想の影響の下に完成した庭園のため、中国趣味豊かな仕上がりが特徴です。東門近くにある内庭は、かつて水戸藩の書院の庭でした。また園の北側にある稲田は、徳川光圀が農民の苦労を嗣子である綱條の夫人に教えるために作ったと言われています。
大泉水に映る紅葉の美しさは格別。園の北側には梅林や藤棚などがあり、四季折々の景色が広がります。
大堰川にかかる朱塗りの橋。京都東山にある東福寺の通天橋に見立てています。
肥後細川庭園
江戸時代末期に熊本藩細川家の下屋敷、抱屋敷があり、明治初期に細川家の本邸となった場所。斜面に茂る林や燈籠などから明治時代の名残が感じられます。園内にある松聲閣はかつて細川家の学問所であり、住まいとしても使われていた大正時代の建物です。
11月下旬になると冬の風物詩・松の雪吊りが楽しめます。
春は梅、夏は肥後花菖蒲、秋はモミジやハゼの紅葉が見もの。
ホテル椿山荘東京
かつて上総久留里藩主・黒田豊前守の下屋敷であった土地。南北朝時代から椿が自生する景勝地として知られ、「つばきやま」と親しまれていました。明治期に、目白台地の崖線や緩傾斜を生かした名園が誕生。庭内には、般若寺式石燈籠や三重塔など史跡が点在しており、歴史に思いを馳せながら散策を楽しめます。
国の有形文化財に登録されている三重塔「圓通閣」。室町時代の建造物だと推定されていますが、諸説あります。春は満開の桜も楽しめます。
11月下旬に見頃を迎える紅葉。鮮やかな朱色の弁慶橋とのコントラストが見事。池面に映る紅葉の木々の美しさが幻想的な空間を作ります。
六義園
五代将軍・綱吉の側用人であった柳澤吉保が7年もの歳月をかけて築園。万葉集や古今和歌集に詠まれた名所・旧跡が八十八境として映し出されています。それぞれの景勝地には石柱が目印として建てられていましたが、現存するのは32カ所となっています。大泉水にかかる渡月橋は、「和歌のうら芦辺の田鶴の鳴声に夜わたる月の影そさひしき」の歌から名づけられました。
標高約35mある藤代峠から望める緑豊かな景色。峠の頂上は「富士見山」と言われています。4~5月にかけて、ツツジが園内に華やかさを添えます。
3月下旬頃に見頃を迎えるしだれ桜の大木は、樹齢約70年。開花時期にはライトアップも実施され、多くの人で賑わいます。
須藤公園
加賀藩支藩の大聖寺藩の屋敷跡。その後、政治家・品川弥二郎の邸宅となり、1889年、実業家・須藤吉左衛門が買取。1933年、東京市に寄付されました。高さ約10mの須藤の滝からの水が流れ込む池には、美しい藤棚が設けられています。
公園の斜面はクスノキなどの大木のほか、野草も生育しています。池の周りの藤棚は、4月末~5月上旬にかけて、香り豊かな花を咲かせます。
西教寺表門
1874年、徳川家の重臣・酒井雅楽頭の屋敷から移築。酒井雅楽頭家第十三代、第五代姫路藩主・酒井忠学に嫁いだ喜代姫を迎えるために建立されたと言われています。複雑な寸法体系で、近世初頭の標準からは外れた独特な構成の門です。1980年から文京区の有形文化財に指定されています。
近世初頭の標準とは違う独特な造りで、現存する貴重な赤門のため、文京区の有形文化財となっています。
旧安田楠雄邸庭園
1919年、「豊島園」の創始者の実業家・藤田好三郎によって造られた邸宅。旧安田財閥の創始者・安田善次郎の女婿・善四郎が買取、現在は公益財団法人日本ナショナルトラストが所有しています。大正・昭和期の山の手住宅の庭園を楽しめます。
邸宅は各棟が斜めにずらして建つ「雁行形」に配されており、見る部屋によって主庭の景色が違って見えます。主庭は座観式庭園で、滝石組などを望めます。
日当たりのよいサンルームからは美しい主庭を眺めることができます。庭園は屋敷の中からの眺めを重視し、奥行きを表現した造りになっています。
スポット一覧
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白山・本駒込エリア
六義園
小石川後楽園と並ぶ、江戸の二大庭園の1つ。五代将軍・綱吉の側用人、柳澤吉保がこの地を賜り、美しく造成した庭園を持つ下屋敷を造りました。園名は『詩経』の六義から名…
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後楽園・春日エリア
小石川後楽園
水戸徳川家の上屋敷内の庭で、初代藩主・頼房が着手、二代・光圀が完成させました。回遊式築山泉水庭園で、随所に中国的趣向を凝らしています。「後楽園」の名は、『岳陽楼…
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根津・千駄木エリア
旧安田楠雄邸庭園
1919年、「豊島園」の創始者の実業家・藤田好三郎によって造られた邸宅。旧安田財閥の創始者・安田善次郎の女婿・善四郎が買取、現在は公益財団法人日本ナショナルトラ…
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根津・千駄木エリア
須藤公園
加賀藩支藩の大聖寺藩の屋敷跡。その後、政治家・品川弥二郎の邸宅となり、1889年、実業家・須藤吉左衛門が買取。1933年、東京市に寄付されました。高さ約10mの…
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関口・目白台エリア
ホテル椿山荘東京
関口台地の南斜面、神田川沿いに広がる東西に細長い公園。川沿いにソメイヨシノが植えられており、春は多くの花見客で賑わいます。藤棚のあるテラスや重量感のある石が配さ…
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関口・目白台エリア
肥後細川庭園
江戸時代末期に、熊本藩主・細川家の下屋敷だった場所にあり、台地の起伏を活かし、立体的眺望を持った見事な池泉回遊式庭園です。大正時代に建てられ、細川家の学問所とし…